スペイン南部で伝統的に飼育されてきたイベリコ豚を輸入し、イベリコ豚専門の外食事業、通販や惣菜事業などを展開している「タイシコーポレーション」(大阪市西成区)。イベリコ豚が住む森を守るため、毎年植樹活動にも取り組む山本真三社長に、目指すミライについて聞いた。
イベリコ豚を世界中に広めると共に、環境問題解決No.1企業になること。これが当社の事業目的です。
1956年に父が精肉店を創業。その後、卸、外食店と事業を広げました。しかし、2001年に発生した狂牛病問題で肉が売れず、活路を見出そうとヨーロッパへ。最後に訪れたスペインで「イベリコ豚」に出会い、日本・スペイン両政府と交渉を重ね、5年かけて輸入を実現させました。
父亡きあと、さらに事業を広げましたが赤字が膨らみ、テナントの契約満了で一番利益のあった焼肉店も閉店に。もう何も残っていないと途方にくれていたとき、「イベリコ豚だ」とひらめいたのです。
イベリコ豚にはランクがあり、最高級のものはコルク樫のドングリで育ちます。1平方キロメートルのコルク森で2頭しか育成できず、手間とコストがかかることから担い手が減りつつあります。このままではコルク森そのものも消滅し、環境破壊が進むとの危機感に「イベリコ豚」に取り組む使命を感じました。
――目的を果たすための方法は?
血統が25%入っていれば「イベリコ豚」を名乗れるので、一般的な養豚所で育ったものを販売する業者もありますが、本物はまったく違います。味も栄養価も比べものになりません。
その価値を伝えるため、育成環境である森林の写真やコルク樫のドングリなどを店舗に展示したり、パンフレットを作るなどPRに力を入れています。ただし、お客様にとって押し付けにならないように、さりげなく伝えることを心がけています。
環境問題については、売上の一部をコルク森の植樹費用にあてており、2015年から毎年1500~1600本の苗を植えています。植樹には社員にも参加してもらい、現地を見せることで理念の共有を図っています。活動に参加したいというお客様も現れ、2019年1月にはお客様と一緒に11名で植樹ツアーを初開催、2020年も引き続き開催しています。
また、社員教育にも力を入れています。飲食業は忙しく休みを取りづらいイメージがありますが、週休2日は確保した上で、研修や他社見学には積極的に参加させています。自社の仕事だけではどうしても視野が狭くなるためです。ただ参加するだけでなく、今日から真似できることを3つだけ宣言させて実行させるようにするなど、学んだことの定着にも取り組んでいます。
環境問題を解決するNo.1企業として、1万本の植樹を目指しています。毎年1万本植樹すれば、「イベリコ豚」を取り巻く環境問題は大きく改善できるはず。そのために費用が1億円かかるので、約50億円の売上が必要になります。
私たちがターゲットにしているのは経営者。出店できる都市は限られていますし、全国展開となるとオペレーションも課題になります。そのために直営だけではなく、チェーン店展開も視野に入れ、20年後には38店舗まで広げようと計画しています。
またパーソナルトレーニングジムと一緒に体質改善とイベリコ豚で肉体改造に取り組むなど、着手し始めた異業種との協業も積極的に進めていく予定です。
それでも目標である50億円の売上を目指すには日本の市場だけでは難しく、海外展開は必須です。まずは現在グループ会社のある中国を足がかりに、アジアにイベリコ豚を広めていきたいと考えています。
そして、30年後にはスペインでイベリコ豚のNo.1ブランドになるのが当社の目指すミライです。
企業/団体名 | タイシコーポレーション株式会社 |
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代表者 | 山本 真三 |
所在地 | 〒557-0011 大阪市西成区天下茶屋東2-13-29 |
電話番号 | 06-6656-3116 |
従業員数 | 29名(※パート・アルバイトを含) |
平均年齢 | 27歳(※パート・アルバイトを含) |
URL | https://www.iberico-ya.com/ |
事業内容 | 貿易事業、ネット通販事業、牧場事業、飲食事業 |
詳しくは下記フォームよりお問い合わせください。