大正6年の創業以来、プラント関連や医療機器、航空機装備品など、様々な精密部品の機械加工を行ってきた中川鉄工(大阪市城東区)。伝統工芸などに比べて評価が低い金属加工職人の地位を底上げし、まごころを込めたものづくりで大阪の活性化に貢献したいと話す中川裕之社長の目指すミライについて聞いた。
まごころを込めた職人の手によるものづくりで、高品質かつ付加価値の高い商品を提供し、大阪から「ものづくり立国 NIPPON」を支えたいと思っています。また、社員に対しても、心を磨く教育で、努力が報われる喜びを教えたいですね。
大阪はかつて「天下の台所」と言われるほどの経済圏でしたが、今はものづくり企業がどんどん東京に進出し、同業者も減ってしまいました。しかし、かつての大阪のものづくりを支えたのは職人の技術です。それを継承しながら、大阪に活気を取り戻す手助けがしたいのです。
そのためには、職人をちゃんと育てていかなければなりません。とはいえ最近は、人間同士の関係が希薄で、心が折れやすい若者が増えています。挫折から立ち直る経験は人を成長させるもの。高品質の商品を提供するスキルを身につけてもらうためにも、そうした経験ができる環境を整えてあげたいと思っています。
そのためにも、あいさつや脱いだ靴を揃えるといった、当社が創業から100年間守り続けてきた日本の古き良き伝統も伝えていきたい。それも、心を磨くことにつながるはずです。
製品は様々な工程を経て完成するので、現場でのコミュニケーションなくして良いものは作れません。ですから、飲み会や慰安旅行を定期的に開催し、社員同士の親睦を深めています。
また、社員はみんな家族だと思っているので、違うと感じることがあったら、本気で叱ります。大切にしているのは、「怒る」のではなく「叱る」こと。相手の成長を願っているからこそ、見限ることなく、理解するまで本気で接します。
あいさつの大切さなどは口うるさくなってしまわないように、社歌の歌詞に入れて伝えています。「努力が報われる幸せを信じられる職場でいよう」など、私の思いも込めました。
こうした取り組みを続けることで、社員の意識も少しずつ変わってきたようです。当社は、「身の丈に合った経営」という方針なので、社員は15名程度。だからこそ、全員の顔が見え、変化も敏感に感じ取れます。また、小さいながらもエキスパートが揃った会社として、付加価値が高い仕事の相談も増えてきました。
金属加工職人のイメージアップを目指しています。同じものづくりでも、伝統工芸などに比べて、金属加工は職人の評価が低い。当社の金属加工は、社会のインフラを支える素晴らしい仕事だと自負しているので、イメージを底上げしたいのです。
金属加工は、かつてはブルーワーカーの仕事でしたが、今はホワイトワーカーの仕事に変わってきました。先端のテクノロジーを活用できるセンスが求められる。CAD、CAMなどコンピューターを駆使する仕事が増えてきたため女性も活躍できます。
将来の国内雇用を考えると、女性技術者の育成は大切なことだと考えています。鉄工所には油で汚れたイメージがあるかもしれません。しかし当社は職場がきれいだと評価されることが多く、それが新規受注につながることもあります。今後も整理整頓を徹底して、男性も女性もさらに働きやすい職場にしていきます。
金属加工はどうしても環境的にハードだと言われる。でも私は、だからこそ心が磨かれ、人間的に成長できると思っています。社歌の歌詞に「先輩たちの背中が語る確かな技術を受け継いで、新しさと若さで未来をつくろう」というフレーズがありますが、そのようにして大阪の活性化に貢献していきたいですね。
企業/団体名 | 中川鉄工株式会社 |
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代表者 | 中川 裕之 |
所在地 | 〒536-0008 大阪市城東区関目2-5-17 |
電話番号 | 06-6939-8519 |
従業員数 | 15名(※パート・アルバイトを含) |
平均年齢 | 35歳(※パート・アルバイトを含) |
URL | http://nakagawa-iw.com/ |
事業内容 | プラント向け等のステンレス、難削材の精密旋盤加工 |
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