病院や老人福祉施設向けに介護食や治療食などの特殊食品を販売する「三嶋商事」(堺市中区)。2008年からは、在宅での利用者に向けてネット販売も行っている。売り上げよりも顧客のQOL(生活の質)向上を目的とし、「顧客が本当に求めているものを理解して提供したい」と話す三嶋賴之社長の目指すミライについて聞いた。
ミライについて語る三嶋賴之社長
当社の理念は「地域医療に貢献できる企業になる、みんながハピネス」です。特殊食品は、必要な人にとっては、なくてはならない大切なもの。だからこそ、医療の輪の中にいる自覚をもちながら、各地域の患者さんに商品を届けていきたいと考えています。
会社を引き継いだ当時は、社員が定着せず、専門的な知識がなかなか積み上がりませんでした。社員の行動規範になるような理念もなかったので、私と社員の思いが一致していなかったのです。そこで、私の中にあった、会社のあるべき姿を理念として明文化しました。
この理念の元、お客様に「三嶋商事から商品を購入して良かった」、社員に「三嶋商事に入社して良かった」と言ってもらえる会社を目指しています。
経営方針説明会では、社員の行動指針であるコアバリューに沿って、最も価値観に合った社員のエピソードを表彰。価値観がなお一層、社員に浸透したようです。また目的を達成するためには、相互に助け合うチームワークが必要。そのため部署間の壁を取り払い、交流を深めるための社内イベントを充実させています。
また、売り上げだけではなく、顧客のQOL(生活の質)向上を目指す取り組みの一つとして、慢性腎不全の患者さん向けに「通常米の50分の1」という低たんぱく米を自社ブランドで開発し、2016年10月に発売しました。2019年4月には冷凍のおかず弁当を5品、さらに同11月に4品追加発売をしました。
カロリーを上げたんぱく質を抑える専用の食事は、一人分だけ作るのは大変手間です。味にこだわり、何度も試食と試作を繰り返したお弁当は、冷凍とは思えないサクサクした食感のとんかつにミックスフライやハンバーグなど、健康な人と同じメニューを楽しめます。やはり、自分たちが納得したものをお届けしたい。おかげで販売も順調です。
今、高齢者の5人に1人が低栄養状態と言われていて、国も介護食など、特殊食品の普及を後押ししています。背景にあるのは医療費の問題。高齢者がしっかりと栄養を摂っていれば医療機関を受診する人が減り、医療費も下がります。特殊食品はこれからますます必要とされる商品なのです。
今後は、1年間で冷凍弁当のメニューを30種類に増やす予定です。消費者の「特殊食品はおいしくない」という思い込みを払拭するため、おいしさはもちろん、パッケージデザインも食欲をそそるものに変えていきます。
社員たちも成長し、今ではみんな「人を救うぞ」という気持ちが顔つきでわかるほどです。本当に良いメンバーが集まっています。2018年4月に事務所を移転した際、社員同士が互いに声がかけ合えるよう、同じフロアに集約、拡大しました。音楽でリラックスして集中できる職場で、横のつながりも良くなりました。
また新たに「みしまの研究室」という、外部講師を招いた勉強会を始めました。社員はもちろん栄養士などお世話になっているお客さんも交えて、栄養学や褥瘡対策・嚥下食についてなどを学び、ナレッジの向上を目指します。
行動指針を実践できる社員1人1人が、患者さまの生活をしっかり支え続ける会社でありたいですね。
企業/団体名 | 三嶋商事株式会社 |
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代表者 | 三嶋 賴之 |
所在地 | 〒599-8237 堺市中区深井水池町3178 |
電話番号 | 072-276-7177 |
従業員数 | 38名 |
平均年齢 | 45歳 |
URL | http://www.mishima-s.com/ |
事業内容 | 特殊食品の卸売業を主要事業として、介護食、栄養補給食品、たんぱく調整食品、低カロリー食品、非常用食品の病院・老人福祉施設・在宅への販売業務 |
詳しくは下記フォームよりお問い合わせください。