「デザイン」「機能」「用途」を組み合わせた高付加価値な再生紙商品を開発・販売する創業昭和3年の紙再生サービスメーカー「山陽製紙」(泉南市)。「地球環境に配慮した再生紙の製品化を通し、循環型社会に貢献したい」と話す、原田六次郎社長の目指すミライについて聞いた。
ミライについて語る原田社長
「紙創りを通してお客様と喜びを共有し、環境に配慮した循環型社会に貢献する」ことが当社の理念です。
昭和26年から、古紙再生メーカーとして、セメント袋に使用するクレープ紙を主力に製造してきましたが、バブル崩壊後、市場規模は縮小。おまけに、大量の水と電力を必要とする製紙業は環境にかける負荷が大きく、会社の存続だけではなく、社会に存在していいのかどうかにも自信が持てなくなりそうでした。
そこで会社設立50周年を機に、企業理念について社員たちと議論。当社の強みである小ロット生産や研究開発力など紙再生の技術を生かし、我々だからこそできる資源の再生を通し、人と社会に貢献できる企業になろうと考えました。
eco検定・CSR検定などの社員教育に力を入れ、今では、理念に対する社員の理解はかなり深まったと感じています。
単なるリサイクルではなく、古紙の価値を上げる「アップサイクル」に取り組んでいます。お客さまが使いたくなる魅力的な商品に再生することで、環境問題への関心がさらに高まるのではないかと考えています。
例えば、食品加工の際に出る梅の種などの産業廃棄物を炭化し紙にすき込んだ、消臭・調湿機能付きの再生紙製品「SUMIDECO(スミデコ)」を2004年に発売。電線の包装などに使用される再生紙「工業用クレープ紙」を活用したブランド「crep(クレプ)」を2016年に発売しました。商品化したピクニックラグは、軽くて丈夫、かつ再生紙独特の風合いと、人気作家ともコラボした多様なデザインが好評をいただいています。
また、2017年から、大手電力会社の供給する原子力や火力発電の電力の使用をやめ、長野県の水芭蕉水力発電所で発電された電力使用を開始しました。事業活動で使用する電力をすべて再生可能エネルギーで賄うことを目指す「RE100」の中小企業版である「RE Action」が2019年10月に発足しましたが、それにも参加しています。コストは上がりますが、その分、節電意識がさらに高まっています。
また弊社の年間総売上の30%にものぼる費用をかけて、2018年から新たな排水処理設備を稼働。理念と行動が一致していることで、胸を張れる社員が増えてきたと感じます。
2012年から企業から回収した不用なコピー紙を、ノート・封筒といった紙製品に再生して回収元に再び届けるサービスをしています。このサービスの売上の1%を環境活動に取り組む団体に寄付しています。2018年には「PELP!(ペルプ)」というサービスにリブランディングし、さらに参加企業を増やすことで、リサイクルを文化・習慣にすることが当面の目標です。回収する紙の重量に応じて環境貢献度を見える化し、参加企業の環境活動を支援していきます。
根本的には、紙の需要減少が続く中、いずれ製紙業はなくなっていくだろうという危機感があります。今後は、オーダーメイドの再生紙、小ロット生産といった当社の強みを活かしながら事業を多角化し、将来的には「脱・製紙」も視野に入れています。
そのために、若い社員に期待しています。2016年から地元小学校と協働で、子どもたちへのキャリア教育を続けています。地域の役に立ちながら、社員が成長する機会にもなっています。幸い学ぶことに意欲的な社員が増えており、2017年度から「山陽塾」という名の社員教育の時間がスタートしました。これからも次の世代を担う社員を後押ししていきたいと思っています。
企業/団体名 | 山陽製紙株式会社 |
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代表者 | 原田 六次郎 |
所在地 | 〒590-0526 泉南市男里6-4-25 |
電話番号 | 072-482-7201 |
従業員数 | 48名(※パート・アルバイトを含) |
平均年齢 | 43歳(※パート・アルバイトを含) |
URL | http://www.sanyo-paper.co.jp/ |
事業内容 | 紙再生サービス |
詳しくは下記フォームよりお問い合わせください。